36歳のジョコビッチを支える「鋼の意志」 前人未到のグランドスラム24勝に到達
■進化論に待った
この進化に、準決勝で待ったをかけたのが27歳のメドべージェフだった。198センチの長い四肢が、スプリンター顔負けのスピードと球筋の読めない不思議なバックハンドを生み出す。こちらも2年前の決勝でジョコビッチの年間GSの夢を潰し今季ツアー5勝──ジョコを足がかりに、2人がポスト3強の椅子取りゲームを抜け出した。
ところが、その進化論に今度はジョコが待ったをかけた。
メドべージェフとの決勝、32本、28本、26本の息詰まるラリー戦をくぐり抜け、5セットマッチという長丁場の中に生じる蟻の一穴を穿った。
ツアー通算96勝、通算390週の世界1位は次席のフェデラーと80週差、メジャー優勝の半数は30代に入ってからだ。
「やるべきことはやっている」
フォアもバックも、同じように防御・反撃できる基礎は柔軟でバランスのとれた肉体だ。2010年からグルテンフリーのダイエットを取り入れストレッチを繰り返す。エレナ夫人によれば、食事中にもストレッチをするとか。ベッカー、4年前からイワニセビッチと往年のビッグサーバーをコーチに招いてサーブを磨き、決勝でも相手の倍のネット攻撃を仕掛けた。