ドラフト当日、ライバル球団に出し抜かれた顛末…ある高校生の動向が筒抜けだったワケ
数年前のこと。ドラフト直前のこの時期、部長が、オレが担当する神奈川の高校生野手を見たいって言い出したんだ。
投手と外野手をやってたんだけど、「肩は強いし、ひょっとしたらショートも守れるかもしれない。だから練習を見られるようにセッティングしてくれ」ってね。
担当のオレから言わせれば、しょせんドラフト4位か5位の下位で指名するクラスの選手。それでも部長が見たいって言うから、ライバル球団の担当スカウトから高校生野手の携帯番号をゲット、放課後にこっそり練習を見られるようにセッティングしたさ。
当日はグラウンドにオレと部長と高校生野手の3人だけ。部長はこれ幸いと、選手に遠投をやらせるわ、ケージでティー打撃をさせるわ、ベースランニングまでやらせてた。
ドラフト当日──。その高校生野手は、あろうことか2位でライバル球団が指名した。オレに携帯の番号を教えてくれたスカウトの球団だ。すると会議が終わるなり、部長がすっ飛んできた。
「おまえ、だれから、携帯の番号を聞いた! 自分で調べたんじゃねーのか!」って、ものスゴいけんまくで怒鳴り、オレをにらみつけてる。