男子バレー日本代表エース高橋藍の素顔 ネーションズリーグ無傷の8連勝を牽引
男子バレーボール日本代表の快進撃が止まらない。「ネーションズリーグ(VNL)2023」の予選ラウンドで、主力が揃っていなかったとはいえ、東京五輪金メダルのフランスなど力のある欧州勢を撃破。五輪、世界選手権合わせて6度の優勝を誇るブラジル、東京五輪銅メダルのアルゼンチンと立て続けに下し、予選ラウンド8試合を終えて負けなしの首位に立っている。21歳ながらエース級の活躍を続ける高橋藍の素顔とは──。
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「春高バレーで初めて見ましたが、運動能力が高く、ボールの扱いも非常に器用でアウトサイドの候補として彼を入れたいと思い、(日本代表メンバーに)推薦しました。初めは周囲の抵抗に遭うかなと思ったのですが……」
こう話すのは、2021年東京五輪まで男子バレー日本代表を率いた中垣内祐一前監督だ。
弱冠21歳ながら、石川祐希と並ぶエースとして日本の開幕8連勝に貢献。137得点は石川(142得点)に次ぐチーム2位。リーグでは3位をマークしている。
高橋が日本代表監督の目に留まったのは、東山高(京都)3年時に出場した20年春高バレー。大会初出場の高橋はキャプテンとして同校の初優勝に貢献。最優秀選手にも選ばれた。
コロナ禍で延期となったものの、本来ならば東京五輪が行われる予定だった年。とはいえ、当時はまだ高校3年生。中垣内監督が「周囲に反対されるかも」と懸念したのも無理はない。
■ディフェンスは世界トップレベル
「確かにまだ高校生でしたが、体の使い方が非凡。特にディフェンスでのプレーは目を見張るものがあった。周囲もそんな高橋の能力を評価したので、代表入りとなったんです」
と話す中垣内氏は、高橋の印象についてこう続ける。
「当時は背はそれほど高くなく、線も細かったですね(現在は188センチ、72キロ)。体が出来上がるまではパワーもスピードもまだまだ、と。現在もパワーはあるわけでもないわけでもありません。ただ、シャープなスイングで打てるので球のキレがいい。石川と比較されるようですが、高橋の方が泥くさいプレーをします。特にディフェンスに関しては粘り強く食らいついていく。守備に関してはアウトサイドでは世界トップクラスだと思います」
高校卒業後は日体大に進学。21年の東京五輪は準々決勝でブラジルに敗れたものの、ベスト8入りに貢献した。その実力と可能性が世界の目に留まり、五輪後には日体大在学中でありながら、同年イタリアの名門リーグ、セリエAのパラボーロ・パドバに期限付きで入団。今季は22試合に出場し、MVPにも3度輝いている。今年6月にはセリエAのベロ・バレー・モンツァと契約した。