マーリンズGMキム・アング氏の退団はメジャーリーグの「ガラスの天井」の厚さを物語る
「ガラスの天井」とは、女性やさまざまな少数者を一定の職位以上に昇進させない障壁のこと。その天井が存在するために生じる障害は、今なお、あらゆる場面で根深く残っている。
大リーグも例外ではない。かねて多様性の尊重や女性の進出の点で遅れが指摘され続けてきたことを受け、米大リーグでは2010年代末から女性を指導者や球団経営の中枢に起用する動きが本格化し、現在に至る。
女性のコーチやゼネラルマネジャー(GM)がいない日本のプロ野球界からすれば、わずかとはいえマイナーリーグ球団の監督や大リーグのコーチ補佐、あるいはGMが存在する米国球界の現状は先進的に見えるかも知れない。
しかし、先進的なはずの米国球界の状況も、内実を詳細に眺めると異なる様相を示す。その象徴的な事例が、大リーグを含む北米プロスポーツ史上初の女性GMとなったキム・アングの辞任である。
■プレーオフ進出の実績も
マーリンズのGMに就任した2020年オフ以降、明快な選手獲得の方針によって選手層に厚みを持たせることで、今季は3年ぶりの勝ち越しとプレーオフ進出を果たすなど、着実に実績を残してきた。