五輪汚職の高橋治之の「告白」を新聞・テレビが報じないワケ…誰を怖がっているのか?
「僕が理事になった十四年時点では組織委は一般財団法人でしたが、翌十五年に『オリ・パラ特措法』ができて、組織の理事は公務員とみなす、いわゆる『みなし公務員』となることが決定したといいます。でも、この変更について組織委からの説明は何もなく、紙っぺらが送られてきただけ。それも色んな書類に紛れて全く記憶に残っていませんでした」
要は、高橋は民間のコンサルタントとして金集めに協力したので何らやましいところはない、森は法廷に出て本当のことを言ってくれと懇願しているのである。
文春のスクープにケチをつけるわけではないが、高橋側の言い分をそのまま載せるという条件で折り合ったのであろうか、いつもの文春の突っ込みがやや弱いと感じた。
しかし、文春記者とは別に、大手メディアの多くの記者が高橋に接触していたはずなのに、なぜTBS以外のテレビや新聞は報じようとしないのか? それは、彼らが警察や検察に怯えているからである。
私は週刊現代(1996年新年合併号)で、当時、地下鉄サリン事件などの主犯として逮捕・起訴された麻原彰晃の「供述調書」を独占掲載したことがあった。当時、警察も検察も「麻原の調書はない」と言い続けていたが、同じものをいくつかの新聞社が入手していたことは間違いない。だが、彼らは警察、検察の記者クラブから出入り禁止になることを恐れ、出せるはずはなかった。