五輪汚職の高橋治之の「告白」を新聞・テレビが報じないワケ…誰を怖がっているのか?
これを出せば検察は激怒し、私を逮捕するかもしれなかった。なぜなら、調書で麻原は延々と自己弁護し、犯行は自分の知らないところで部下たちがやったという内容だったからだ。当局の面目は丸潰れになり、醜態をさらすことになる。
案の定、掲載誌が出た後の検察の“報復”は厳しいものだったが、ここでは省く。
今回も新聞・テレビが無言なのは、無罪を主張する高橋の言い分をそのまま載せて、検察から睨まれたくなかったからではなかったか。権力を監視するという役割など、とっくに放棄しているのだから当然だろうが。
「事実に反した森さんの供述で、僕は逮捕されてしまった」という高橋の告白から、私が読み取るのは、当局は五輪汚職を事件化するために、森喜朗と「司法取引」したのではないかという“疑念”である。「森さん、あんたを見逃す代わりに高橋を差し出せ」──。ここはぜひ森の弁明が聞きたい。 (文中敬称略)
(「週刊現代」「フライデー」元編集長・元木昌彦)