ドジャース山本由伸を丸裸! 戦線復帰後の成功を後押しする「思考」と「メンタリティー」の深淵

公開日: 更新日:

国際結婚した姉は英会話教室を経営、契約交渉にも同席

「『一軍の選手はなかなかアウトになってくれない』と嘆いていた。5回で100球くらいになっちゃうから『体が持ちません』と。『負担の少ない投げ方に変えるか、トレーニングを強化して故障をしない体をつくるか、どっちかだよね』とアドバイスしたら、翌年のキャンプイン時にその両方を達成していた。故障しないフォームをつくるため、『ジャベリックスロー』(やり投げのようなトレーニング)も1年目のオフからやっている。1年目である程度結果が出ていたので、周囲は『(フォームを)変え過ぎだ』と猛反対しましたが、これと決めたことは貫いた。『左右、高低、緩急3つの揺さぶりが必要だよ』と言ったら、すぐにフォークとカーブを習得。由伸は考えて準備して、それを継続できる。自分を知る力、コーチの助言の本質を見抜いて取捨選択できる能力が高かったのです」(酒井氏)

 小学生時代に在籍した伊部パワフルズで指導した大饗利秀氏は、オリックスがV1を達成した21年オフ、山本とこんなやりとりをしたという。

「優勝争いが佳境を迎えたシーズン最終戦(楽天)の初回に、二塁手の安達選手が内野フライを落球した。その時の心境を尋ねてみましたが、まったく気にする様子もなく、『緊張して硬くなっていたんじゃないか』と、むしろフォローしていました。援護点の少なさについても、『相手投手がエース級だから仕方ない。むしろ、そこで投げ勝てるようにならないと』と。彼は常に、自分が目指す投球ができているのかどうかに重きを置いているんです」

 そんな山本をオリックスの後輩投手も憧れのまなざしで見ている。左腕エースの宮城大弥が言う。

「由伸さんで一番リスペクトしているのが人間性です。誰に対しても優しく、低姿勢。僕が入団した時にも、向こうから『高卒4年目の山本由伸です。よろしくお願いします』と。僕の方が後輩なのにですよ。そういったところは本当に素晴らしいと思います」

 メジャー投手史上最高となる「12年総額約450億円」でドジャースに移籍した山本は、異国の地、異国のチームに溶け込む努力を重ねている。現地特派員がこう言う。

「チームメートが驚いていました。グラスノーら投手陣の輪に積極的に入っていって、身ぶり手ぶりでコミュニケーションを図っている、と。大型契約を結んだとはいえ、謙虚な姿勢も評判です」

 さる放送関係者が言う。

「お姉さんの影響もあると思います。お姉さんは国際結婚をして、岡山で英会話教室をやっている。由伸のマネジメント業務にも関わっており、昨オフのポスティング申請後には、交渉のために来日したメッツ・オーナーのコーエン氏や球団幹部との会食に同席したと聞きました。堪能な英語を駆使してコミュニケーションを図り、コーエン氏もいたく感心していたともっぱらです。もともと由伸は、尊敬する地元の先輩を追いかけて、岡山から宮崎の都城高校へ進学している。タフな精神力があって、新たな環境に飛び込むことを恐れない。常にオープンな気持ちで物事に向き合う。だからこそ、適応力、対応力も高いのだと思います」

 適応力、対応力でいえば、国際大会での実績もしかりだ。21年東京五輪ではエースとして日本の金メダルに貢献。昨春のWBCでも先発、中継ぎとフル回転し、世界一の原動力になった。準決勝のメキシコ戦では3点を追う五回から登板、自身初の米国のマウンドで、並み居るメジャーリーガー相手に堂々たる投球を見せ、逆転勝利の呼び水となった。

 技術の高さもさることながら、幼少期から一貫する柔軟かつタフなメンタリティーは、大舞台での活躍を後押ししそうだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ30代アナ永島優美、椿原慶子が辞めて佐々木恭子、西山喜久恵50代アナが居座る深刻

  2. 2

    志村けんさん急逝から4年で死後トラブルなし…松本人志と比較される女性関係とカネ払い

  3. 3

    ダウンタウン浜田雅功の休養でよぎる2023年の「意識障害」報道…「前日のことを全く記憶していない」

  4. 4

    男性キャディーが人気女子プロ3人と壮絶不倫!文春砲炸裂で関係者は「さらなる写真流出」に戦々恐々

  5. 5

    悠仁さんの成人会見は秋篠宮家の数々の危機をいっぺんに救った

  1. 6

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  2. 7

    志村けんさん急死から4年で関係者が激白…結婚を考えた40歳以上年下“最後の女性”の存在

  3. 8

    備蓄米放出でもコメ価格は高止まり…怪しくなってきた農水省の「実態把握」

  4. 9

    日テレ「さよなら帝国劇場」でわかったテレビ軽視…劇場の階段から放送、伴奏は電子ピアノのみ

  5. 10

    フジテレビ「Live News イット!」が大苦戦中…上垣皓太朗アナが切り札となるか