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春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

世界陸連会長ブチ上げ「金メダリストにボーナス」は五輪を単なる賞金大会へと変える大暴挙

公開日: 更新日:

■五輪を「滅びに至る門」に立たせることに

 88年ソウル五輪がその最初となった。だが、その時も五輪参加によっていかなる選手も金銭的対価を得ないことが大前提。高額報酬のプロ選手があえて五輪に参加するのは金銭のためでなく、五輪に価値があるからだ! という図式が成り立たなければならなかった。

 コーが金メダリストに渡す金額は5万ドル(約770万円)で、陸上48種目にわたる。その原資はIOCが五輪によって得た収益の分配金である。IOCは放映権料やスポンサーシップなどで得た収益の90%を国内オリンピック委員会や国際競技連盟(IF)などに配分する。その分配金を使って金メダリストに金銭を提供するとなれば、実態はIOCが大会で稼いだ金で選手に賞金を与える構造になる。

 一部のIFから猛反論も出ているが、IOCは今のところ無言。オリンピックが抱える矛盾をコーが突いたのか? 彼は「この決心はIOCへの相談は不要、IOCに通告した」としている。もし追随するIFが増えれば、コーの提言はまさにオリンピックの「滅びに至る門」となるかもしれない。平和の祭典が単なる賞金大会になってしまうことをIOC、メディアはどう考えているのか。問題意識の希薄さは、オリンピックの危機を加速させる。

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