フェンシング見延和靖「だからこそまた一歩を踏み出せた」…“道”を悟った101歳からの金言
僕自身、フェンシングというものをひとつの道として捉え、フェンシングの職人であると思っていました。その中でお茶の道や禅を極められた元家元の言葉はすごく力強く僕の中に響きました。
競技を続ける覚悟がつき、東京五輪の後にプレースタイルを大きく変えました。練習メニューも変わって実戦的な練習がガクンと減りました。一方で、ケアやトレーニングに充てる時間や自分の内側を見つめる時間がかなり増えたと思います。
日本人選手は小柄なので、いかにフットワークを生かして、中に潜り込みながらスピードで相手の先を取るか、というプレースタイルが得意とされてきたんですが、足や膝のケガに悩まされたり、年齢を重ねていくにつれ、その俊敏性が失われていく。これはマズイなと。そこで、スピードを落として手と足のバランスをリンクさせながら、かなりディフェンス寄りのスタイルに変化させました。
突くのではなく、(剣を)置いている場所に相手が来るように仕向けるような感覚です。「間」をどれだけ相手に悟られずにタイミングを取れるか。そういう戦術になると、気配のオンオフが大事になってきます。