フェンシング見延和靖「だからこそまた一歩を踏み出せた」…“道”を悟った101歳からの金言
フランスはフェンシング発祥の地ともいわれ、有観客というのもモチベーションのひとつです。フランス人はフェンシングリテラシーがすごく高い。お客さんも突いたから喜ぶのではなく、ちゃんとフェンシングを理解したうえでプレーを称賛する。日本もそうですが、世界でもなかなかそういう環境の中で試合することがありません。フェンシングは世界大会でもお客さんが入らない試合の方が多いし、シーンとしているからといってやりづらさは感じないですが、僕の場合は応援してもらえる喜びをリオ大会で経験しているので、無観客の東京五輪で家族を呼んで生で試合を見せてあげられなかったことが心残りでもありました。
パリは自分のためでもあるけど、自分以外の人のために挑む大会でもあります。だからこそまた一歩を踏み出せた気がします。
▽見延和靖(みのべ・かずやす) 1987年7月15日、福井県越前市出身。武生商業高校時代に父親の勧めでフェンシングを始める。2016年リオ五輪で個人戦6位入賞。19年に世界ランキング1位となる。21年の東京五輪で男子エペ団体で金メダルを獲得。22年の世界選手権では日本人初の個人戦準優勝に輝く。フェンシングの折れた剣を包丁に再生する「折れ剣再生プロジェクト」の発起人になるなど、SDGsにも力を注ぐ。