なぜ阿部詩は号泣し、須崎優衣は嗚咽したのか…溢れ出る悲壮感はメダル連発スケボー選手と天地の差

公開日: 更新日:

「俺も死ぬから、お前も死ね」

 多かれ少なかれ、日本代表として五輪に臨む選手には重圧がかかる。無責任なメディアの期待がそれを煽る。そんなプレッシャー軽減し、前向きな力に変えさせるのも指導者の仕事のはずだが、「ニッポン柔道の威信にかけて」と青筋を立てる〝伝統競技〟ではいまだ精神論が蔓延っている。

 柔道男子100キロ超級で五輪初出場となった斉藤立(22)は、準決勝に続いて3位決定戦にも敗戦。メダルなしに終わるや、泣きながら「日本に帰れない」とその責任をひとりで背負いこんだ。リベンジを期した混合団体でも精彩を欠くと、フランスとの決勝を前に鈴木桂治監督から、こう怒鳴られているのだ。

「なんのためにここに来てるんだ、なんなんだお前は。お前はよく『死ぬ気で』とか言うけど、全然、死ぬ気でやってねえよ。ここで、死ね。俺もあそこで死ぬから、お前も一緒に死ぬんだよ」

 ただでさえ、重圧に押し潰されている選手を物騒な言葉で追い詰める。これが、師弟関係の愛のムチだと思っているのなら、時代錯誤もいいところ。結果、斉藤は2度の一本負けを喫し、日本は銀メダルに終わった。

 畳やマットの上で、笑って踊るわけにはいかないが、味方からもプレッシャーをかけられては、選手はきつい。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    三浦大知に続き「いきものがかり」もチケット売れないと"告白"…有名アーティストでも厳しい現状

  2. 2

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  3. 3

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  4. 4

    松嶋菜々子の“黒歴史”が石橋貴明セクハラ発覚で発掘される不憫…「完全にもらい事故」の二次被害

  5. 5

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  1. 6

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  2. 7

    下半身醜聞の川﨑春花に新展開! 突然の復帰発表に《メジャー予選会出場への打算》と痛烈パンチ

  3. 8

    モー娘。「裏アカ」内紛劇でアイドルビジネスの限界露呈か…デジタルネイティブ世代を管理する難しさ

  4. 9

    伸び悩む巨人若手の尻に火をつける“劇薬”の効能…秋広優人は「停滞」、浅野翔吾は「元気なし」

  5. 10

    小松菜奈&見上愛「区別がつかない説」についに終止符!2人の違いは鼻ピアスだった