著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

野球発祥国での開催なのにナゼ? 大リーガーが28年ロス五輪にも参加できない3つの理由

公開日: 更新日:

 第2に、選手のケガの可能性である。

 もし、五輪に参加した選手が故障すれば、公式戦再開後の各球団に影響を与えるし、選手への補償なども生じ、問題は複雑にならざるを得ない。

 公式戦も絶えずケガの可能性はあるとはいえ、五輪という別の試合に参加して選手の体に異常が生じることは、球団経営者にとっては危機管理の上からも好ましくない。

 そして、第3の理由は機構にとって重要な国際戦略の一環であるWBCの価値を相対的に低下させることである。

 大リーグの選手が出場できるのはWBCのみという事実は、大会の魅力の一つでもあり、放映権料を決める上でも重要な役割を果たす。

 こうした特長を持つWBCの魅力を弱めかねない五輪への大リーグ選手の派遣は、機構にとっては同意しがたい。

 コミッショナーのロブ・マンフレッドは今後、関係者との協議によって方針を定めるとしている。

 だが、こうした事情から、現時点で大リーグの選手たちをロサンゼルス五輪で目にすることは難しいのが実情なのである。

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