「変わり兜 ―戦国のCOOL DESIGN」橋本麻里著
家康の側近であった怪僧・天海のものと伝わる「麒麟前立付兜」に至っては、朱塗りされた水牛の角の脇立に、具足の胴から同心円を描くように半月状の指し物が伸び、かぶっているだけで大変そうだ。
これらの過剰なまでの装飾は、シャコタンやデコトラなどのヤンキー文化のデザイン嗜好と一致していると著者はいう。それは「わびさび」「引き算」の美学とは真逆の「かざる」という日本人の美学のもうひとつの極なのだとも。
戦国武将たちの過激さに感心したり、驚いたり、日本の美の「B面」を楽しむ。
(新潮社 1600円)