「行人坂の魔物」町田徹氏

公開日: 更新日:

■「銀行と闘った実在のヒーローのノンフィクションです」

 歴史ものと金融ものが合体した異色のノンフィクションである。

「東京・目黒区にある行人坂は、魔物がすんでいるのではないかといわれるほど昔から不吉なことが起きているんですね。本書後半で詳しく書いた目黒雅叙園のお家騒動も、どろどろした犬神家みたいな人間ドラマがあるんです」

 不吉な出来事とは、江戸時代、急な行人坂の代わりに緩やかな坂を開いた菅沼権之助が幕府によって死罪となったり、行人坂近くの破門僧による放火が原因の明和の大火など。

 そして、明治維新には行人坂にあった武家屋敷が薩長の軍人の手に渡り、何代目かの所有者になる細川力蔵は、石川県から上京し銭湯の住み込みから成功した人物だが、まさにこの男が「昭和の竜宮城」と呼ばれる目黒雅叙園を始めた。

「豪華絢爛(けんらん)な雅叙園の水面下では、会社や土地の乗っ取りが繰り広げられ、バブル期最大の経済事件の舞台になりました。“ハゲタカ・ファンド”ローンスター社の再開発プロジェクトは、建築基準法の改正8日前に80メートルの高層ビルを申請し、未完成の建物を高値で販売する『青田売り』や、地元住民が大事にしている八百屋お七の井戸を壊すなど、手口が強引です」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  3. 3

    大谷も仰天!佐々木朗希が電撃結婚!目撃されたモデル風美女に《マジか》《ビックリ》

  4. 4

    井上中日が「脱立浪」で目指す強打変貌大作戦…早くもチームに変化、選手もノビノビ

  5. 5

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希の「豹変」…記者会見で“釈明”も5年前からくすぶっていた強硬メジャー挑戦の不穏

  2. 7

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

  3. 8

    “透け写真集”バカ売れ後藤真希のマイルドヤンキーぶり…娘・希空デビューの辻希美とともに強い地元愛

  4. 9

    爆笑問題・太田光のフジテレビ番組「休止の真相」判明 堀江貴文氏“フジ報復説”の読みハズれる

  5. 10

    バンテリンドームの"ホームランテラス"設置決定! 中日野手以上にスカウト陣が大喜びするワケ