「秘事」勝目梓著
■奇妙な関係を描く異色官能小説
36歳の純子は、結婚して6年の夫・信雄との間に生まれたばかりの子どもがいる。一方で、バイセクシュアルの純子は、10年来の恋人・綾子との関係を結婚後も続けていた。
信雄は、結婚後、急な用事で帰宅した折に純子と綾子が自宅の浴室でむつみあっている姿を目撃するが、2人の関係に気づかないふりをして過ごしてきた。女だけしか愛せない綾子は、自分という存在がありながら信雄と結婚した純子に複雑な気持ちを抱きながらも、愛する純子と別れがたく、受け入れてきた。そんな三角関係は純子の死で突然終わりを迎え、1年後、綾子は自ら望んで信雄の後妻となる。
手記や日記で三人三様の思いを浮き彫りにした異色の恋愛官能小説。
(光文社 1700円)