「日本一周3016湯」高橋一喜氏
ただし、入湯数だけにこだわったわけではない。好みの泉質を追求したり、個性的な湯との出合いも旅の醍醐味だったという。
「個人的には、ぬる湯・硫黄臭・泡付きが好みですが、強烈な個性を放つ湯もいい経験になりました。北海道の豊富温泉はセメダインのような強烈な刺激臭に、オイルタンクにつかったようなテカテカの湯上がり感(笑い)。実はアトピー性皮膚炎などに効能があり、湯治客も多いんです」
■オススメの一湯は新潟・出湯温泉
オススメの温泉を一湯だけ紹介するとしたら?
「好みは人それぞれですが、新潟県にある出湯温泉の華報寺共同浴場でしょうか。ぬるめで透明なアルカリ性の湯は極上の泉質で長湯に最適。ここなら毎日入りたいです」
この旅に出たのは今から約6年前。残念なことに、ここ数年でなくなってしまった湯もある。
「当時好きだったひなびた宿が廃業していたり、大きな施設に変わってしまった湯もありました。青森県の蔦温泉のように、増築を重ねても趣のある、ひなびた宿が長く続いてくれるとよいのですが…。今は無理ですが、年をとってからまた湯巡り旅ができたらいいなと思います。ただし今度はもう少しゆったりめで(笑い)」