話題作「相互確証破壊」の著者・石持浅海氏に聞く
日刊ゲンダイとしてはつい官能部分ばかり注目してしまいがちだが、その濃厚な濡れ場に張られた伏線を読み取り、謎解きにも集中してほしい。
「なぜ不倫の情事の映像を撮るのか、なぜ騎乗位が多いのか、なぜ男装でセックスするのか。その謎が解かれたときの結末には身震いする男性が多いかもしれません」
欲情させる痴態の数々、巧みに織り込まれた暗示、そして戦慄の結末。新感覚の小説だが、男にとっては納涼気分も味わえる……かもしれない。
(文藝春秋 1500円)
▽いしもち・あさみ 1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒業。2002年「アイルランドの薔薇」で単行本デビュー後、推理小説作家として本格始動。「月の扉」「扉は閉ざされたまま」「三階に止まる」「二歩前を歩く」「ブック・ジャングル」など著書多数。