「妻恋坂情死行」鳥羽亮氏

公開日: 更新日:

 剣豪小説の大家による最新作は、新境地となる恋愛小説。江戸を舞台に描かれる、悲恋の底に沈む若き侍の物語だ。

「長い間剣豪小説を書いてきましたが、何か新しい作品に挑戦してみたいと思っていた頃、歌舞伎を見に行く機会がありました。私にとって人生初の歌舞伎鑑賞で、非常に感激しましてね。こういう世界観を小説の中に表現してみたい。よし、次の作品は情死モノだと(笑い)」

 時は幕末。尚武熱が高まる江戸には、多くの剣術道場が門戸を構えていた。中でも、四大道場のひとつとうたわれる伊庭道場に通う旗本小暮家の次男・京四郎は、道場からの帰り道で、野犬に襲われていた隣家の娘ふさを助ける。子どもの頃から何度か見かけたことはあったものの、清楚な大人の女性に成長していたふさを面前に、強く心を引かれる京四郎。そして、ふさもまた……。

「ふたりが逢瀬を重ねる妻恋坂は、桜が満開です。この物語では、ふたりの恋の行方を春夏秋冬の四季になぞらえて表現しました。そして、場面が変わるごとに、冒頭に詩を挿入しています。その詩を読むことで、次に起こる出来事や風景を予測できるような。実は、私は若い頃に詩を書いていたことがあるんです。今回は、当時考えたフレーズを思い出しながら、新しい詩を書き上げました」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…