「老いた親とは離れなさい」坂岡洋子氏
「弱音を吐けない」と頑張りすぎ、状況を客観的に見られなくなっていた典型だ。加えて、親戚から「もっと頑張れ」という無言のプレッシャー。介護保険を使うのは利用料が高いのではと思い込み、問い合わせすらしない人も多いという。
年間93日まで利用可能な介護休業制度が、30人以上の事業所の89.5%(12年度)に整備されているが、利用者は就労者の場合男性4.2%、女性6.5%、後に退職した離職者の場合、男性13%、女性8・4%。仕事と両立できていないのが現実だと指摘する。
本書には親を「捨てる」ための準備もつづられている。
「口が重い親でも、自分が生まれたときのことを聞けば、喜んで話してくれるはずです。会話時間を増やし、コミュニケーションを取ること。離れて暮らしているなら、実家に帰ったときに恥ずかしいと思わず、民生委員や町内会長に見守りを依頼するとともに、いざというときの相談先を調べ、最終的には施設に入れることを視野に入れた準備をしておくことをすすめたいですね」
(朝日新聞出版 1300円)