「老いた親とは離れなさい」坂岡洋子氏
「親の介護をひとりで抱え込んでいる人たちに、共倒れになる前に『親から離れなさい』と伝えたいんです。施設に入れることや他人の助けを借りることも介護だと思わなきゃ。施設に入れば栄養的にいい食事を食べられる。ヘルパーにケアをしてもらうと、着替えもトイレも楽。老いた親にとっても、子供に頼るより、そのほうが幸せだと意識改革をしてください」
著者は、2011年に「老前整理」を上梓し、10万部売れたインテリアコーディネーター。老前整理とは、元気なうちに不要なモノを捨てて整理し、生活空間を使いやすくすると同時に心を軽くすることだという。数多くの老前整理の場に立ち会う中、「頑張り過ぎている介護者」たちに出会ったのが、本書執筆のきっかけだ。
「例えば、会社で責任あるポストにいる、母親と2人暮らしの50代の独身男性。毎夜2回起きて、母親の体を起こし、トイレにつれていく暮らしを何年も続けていました。その母親は昼間に台所で転倒したときも、他人の手を借りるのは嫌だと息子の帰宅まで倒れたまま待っていた。彼は毎日睡眠不足で出社し、夕方すっ飛んで帰っていました」