「幻の五大美術館と明治の実業家たち」中野明著
大倉集古館など明治の企業人のコレクションをルーツにした美術館は多い。一方で、美術館設立の夢を果たせなかった人々もいる。そうした世に存在、あるいは存続できなかった「幻の美術館」の事績をたどったノンフィクション。
三井物産の創設者で、利休以来の大茶人としても有名な益田孝。彼のコレクションには後に国宝となった「源氏物語絵巻」などの逸品が多数あった。そうした美術品入手の経緯などを紹介しながら、益田死後のコレクションの行方までたどる。その他、生糸王原富太郎ら5人の希代のコレクターと彼らの元に集まった美術品の数奇な運命を紹介する。
(祥伝社 860円+税)