「認知症と生きるということ」岩田誠著
脳神経学研究の第一人者である著者は、認知症は症状が起きてしまったら治る病気ではないため、いかに受け入れるかが大切だと説いている。実は認知症の症状は、周囲が否定したり正そうとさえしなければ、多くの場合で治まるのだという。
特徴的な症状のひとつに、財布を盗まれたと騒ぐなどの被害妄想がある。認知症では、記憶の形成ができなくなることでさまざまな勘違いが起こり、これが妄想という形で表れてしまう。ならば、大切なものは必ず目に見える場所に置いて、なくなったと勘違いさせないようにすればよい。
また、過剰な安静や孤独によって脳が“遊んだ状態”になると勘違いが起きやすくなるため、常に話しかけたり体に触れたりすることで、妄想は治まってくるそうだ。(日本評論社 1400円+税)