「人間ドックの9割は間違い」牧田善二著
毎年、人間ドックを欠かさないという人は多いだろう。しかし一方で、日本人の多くががんで死亡しているのはなぜなのか。糖尿病専門医である著者は、「人間ドックのほとんどの検査には意味がないためだ」と一刀両断する。
例えば、胃のバリウム検査。これで怪しいところが見つかれば胃カメラ検査を行う、という流れを当たり前のように感じている人がほとんどだ。しかし、粘膜の変色のみで凹凸を生じない早期の胃がんや食道がんは、バリウム検査では見つけることができない。また、大腸がんの早期では出血しないケースがほとんどのため、便潜血検査は役に立たない。
むしろ、これらの検査を行うことで安心してしまい、がんを放置し悪化させる要因にもなりかねないと本書は警告している。(幻冬舎 780円+税)