「プレシャスブルー」NHK取材班
アンドリューさんに導かれながら、まずはカメラを持たずにクジラに接近。クジラとの関係を築いてから撮影に入るのが二木流なのだ。
深海1000メートルで暮らすマッコウクジラは、呼吸のために1時間に15分ほど水面に現れる。出会いの時間はわずかしかない。すぐにクジラたちに受け入れられた二木さんは、彼らと海中を自在に泳ぎ、ひとときを共にする。その姿は、まるで心と心が通じ合っているかのように見える(ちなみに彼女は息継ぎなしで6分間も海中で過ごすことができるという)。
コーダという音を使って仲間同士で会話をするマッコウクジラ。アンドリューさんが、船体をたたくコーダでクジラたちに呼びかけると旧知のクジラたちも現れる。
時に、2頭の若いクジラに執拗に追いかけられ恐怖を抱いたり、糞の煙幕を張られて近づくのを拒まれたりしながらも日に日に、クジラとの距離は近くなっていくが、ある日を境にぱったりと彼らは現れなくなってしまう。
その後も空振りが続き、ついに2週間に及んだプロジェクトが最終日を迎えた日、奇跡が起きる。その感動のエピソードはぜひ、本書でご堪能を。