【若者たちの現在】ゆとり教育に保守化に草食ブーム。若者たちはどんな時代を生きているのか。
「なぜ若者は保守化したのか」山田昌弘著
かつて怖いもの知らずの代名詞だった若者。草食男子ブームのいまは、おとなしく保守的で、要領はいいが覇気も野心もないという。なぜこうなったのか。「パラサイトシングル」や「格差社会」などの流行語を生んだ社会学者の著者は、過去四半世紀は「若者の就職や結婚をめぐる環境だけが悪化」した「失われた25年」だという。改革幻想だけが先行し、実際には経済格差が急拡大。なのに新卒一括採用や学歴フィルターだけは強固に残る現状。
短いコラムの集めものゆえ本格的な論考ではないが、現代を読むヒントは豊富。(朝日新聞出版 720円+税)