一冊で数倍楽しい短編アンソロジー文庫特集
「日本推理作家協会賞受賞作家傑作短編集(2)雪国にて 北海道・東北編」細谷正充編
日本推理作家協会賞を受賞したミステリー界を牽引する作家6人による北海道・東北を舞台にしたミステリー短編集。日下圭介、小池真理子、高橋克彦、松本清張、水谷準、森村誠一という豪華メンバーが、それぞれ雪国という叙情あふれる舞台設定を生かしてどんなミステリーを展開するか、その手腕が思う存分楽しめる。
たとえば冒頭の小池真理子の「悪者は誰?」は、完全犯罪となる単身赴任の夫の殺害方法を思いついてしまった妻のストーリー。雪国ならではの事情に左右されて思わぬ方向に転がっていく殺害計画の行方に唖然とさせられる。(双葉文庫 620円+税)