「自分がバカか」がわかる本
「日本をダメにしたB層の研究」適菜収著
「B層」=小泉政権時代、郵政民営化選挙直前に広告代理店が自民党に対し「合意形成コミュニケーション戦略」策定にあたり、投票の重要ターゲットと位置付けた層の人々である。縦軸は「IQ(知能指数)」を表し、横軸は「構造改革にポジティブかネガティブ」かを表す。B層は構造改革に積極的でIQが低い人々を指し、著者は「大衆社会の成れの果てに出現した、今の時代を象徴するような愚民」と分析し、「マスコミ報道に流されやすい『比較的』IQが低い人たち」と定義する。さらには「近代的価値を盲信するバカ」とも言う。本書は、そうしたB層の人々が世の中に多いことがいかに問題であるかを具体例とともに示していく。たとえば「英語がしゃべれてもバカはバカのまま」などだ。
著者は「ゲーテの警告 日本を滅ぼす『B層』の正体」など、B層に関する著書を多数出している。同書は2012年に単行本が出され、スマッシュヒットとなり、今回安倍晋三首相らについての言及を加筆し、文庫化された。
よって、アマゾンのレビューではすでに多数のレビューがあるが、その分布が実に興味深い。「★5つ」が19、以下★4つが8、★3つが11、★2つが12、そしてもっとも多いのが★1つの29だ。こうした極端に評価が分かれる本には良書が多い。毒にも薬にもならない本ではなく、キチンと敵もつくれば味方もつくるような本である。★1つの低評価をつけたレビュアーのコメントを見てみよう。