新薬開発に携わったプロの話は具体的で迫力満点
もちろん本書を読んだからといって、歴史を変えられるわけではないし、本書から得られた医薬の知識が実生活に役立つわけでもない。しかし、本の一番大きな楽しみは、自分の知らない世界を知ることができるという知的好奇心の充足だ。その意味で、本書に書かれていることはとても新鮮で、強烈に面白かった。著者が、かつて医薬品企業で新薬開発に携わっていたプロなので、話が具体的で迫力があるからだ。
また、実生活には役立たないとしても、本書に書かれているエピソードは、ちょっとした営業トークや宴会トークには十分に役立つ。だから本書は、ネタ帳としての価値も高いと言えるだろう。★★★(選者・森永卓郎)