著者は再婚後に出産し、市役所に出生届を提出しに行った。そのとき、民法の規定で、離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫の子とされることを知った。著者が離婚する以前から前夫とは別居していることを説明したにもかかわらず、役所側は「子どもの身分の安定のために、職権で前夫を父とする戸籍」をつくるという。この実情に合わない民法のため、無戸籍になっている子どもが、1万人以上いるという。彼らは戸籍がないため義務教育も受けられず、まともに就職できず水商売にしか就けない。
無戸籍者のための電話相談を行っている著者が、民法がつくりだした悲惨な現実を告発するノンフィクション。(集英社 1700円+税)