医者が“家族目線”で語る 本当に効果的な薬の選び方と治療法
体調を崩したら病院を受診し、医者の言うとおりの治療を受けて薬を服用する。誰もが当たり前に行っていることだが、果たしてそれはあなたや家族の年齢、症状、家庭環境などに、本当に適した治療法なのだろうか。
北條元治著「医者が自分の家族だけにすすめること」(祥伝社 800円+税)では、現代医療の現実や限界についてズバリ解説。各種の疾患や症状別に、現役の医者が医者だからこその視点で、どのような治療法を選ぶべきかをつづっている。
「くしゃみ3回○○3錠」「効いたよね 早めの○○」など風邪薬のCMは数多いが、一度風邪のウイルスに感染したら早めに薬を服用したところで発症を遅らせたり防いだりすることは不可能。病院の処方薬でも同じで、抗ウイルス薬として確立されているのはインフルエンザに対する「タミフル」など4種のみ。風邪を引き起こすライノウイルスやコロナウイルスに有効な治療薬はないのが現状だ。
喉の乾燥を防ぐマスクの着用はお勧めだが、風邪をひいたからといって病院を受診したり薬を服用しても何の意味もないと本書。
風邪以外の疾患に関してはどうか。
中高年以降に増加する前立腺肥大症は、放置していると排尿障害や腎不全を誘発することもある。治療には投薬と手術の2種類があるが、自律神経を整える「ハルナール」や前立腺のこぶの拡大を抑える「プロスタール」などの薬は、即効性がなく性欲の低下や低血圧などの副作用があるため、著者は服用しないという。一方、尿道から膀胱鏡を挿入して前立腺をレーザー切除する方法なら、術後の痛みもなく前立腺を全摘出しない限り性機能も維持できるため、迷わず手術を選ぶそうだ。
他にも、腰痛はどう治療するか、妻や娘が子宮筋腫になったら子宮摘出手術はするべきか、家族が進行がんになったらどんな治療法を選択するかなど、医者の本音が語られている。治療の選択の役に立ちそうだ。