「紙の建築 行動する」坂茂著
著者は世界でも類を見ない「紙の建築」を実用化した建築家。紙の建築とは紙管を構造物として使う建築で、氏は恒久建築物や震災後の仮設建築物として世界各地で避難民を支援してきた。そんな氏が紙の建築に対する思いをつづったエッセー。
紙の建築の発想のはじまりは「もったいない」という気持ちからだった。当初は仮設や小規模建築で実験的に開発。そして建築基準法の認定を受けるために必要のない別荘を建てて1993年に認定を取得する。95年の阪神大震災での「紙の教会」や仮設住宅となる「紙のログハウス」など被災地で携わった建築をはじめ、これまで世に送り出してきた作品を振り返りながら、建築の社会的使命を語る。(岩波書店 1360円+税)