「マイケル・ジャクソン 画集」マイケル・ジャクソン著
2009年6月に惜しまれつつ世を去った天才アーティスト、マイケル・ジャクソンの知られざる絵画作品を紹介するアートブック。
マイケルは、親友のオーストラリア人彫刻家、ブレット・リビングストン・ストロングと1989年に「ジャクソン・ストロング・アライアンス」という芸術家パートナーシップを設立。芸術の振興と世界の子どもたちへの支援を目的に活動を続けてきた。
その活動の歩みとともに、彼が創作した絵画130点を公開する。その作品は、「Magical Works(魔法の作品)」と名付けられた抽象画のシリーズから、有名人のポートレート、夢の世界の扉を開くために用意されたかのように豪華に装飾された「鍵」を描いたシリーズ、ミーティング中にこぼしたお茶にアイデアを得てティーバッグを筆のように使用した「Afternoon Tea」などの「紅茶」シリーズ、そしてレオナルド・ダビンチの有名な素描「ウィトルウィウス的人体図」を彼流に複製した「Da Vinci(ダビンチ)」など、多彩だ。
1984年、その業績を称えるために当時のレーガン大統領夫妻にホワイトハウスへ招待されたマイケルは、リンカーン元大統領の寝室に宿泊した。
そのときにインスピレーションを受けて描かれたのが、リンカーン大統領の肖像画と「The White House Doors(ホワイトハウスの扉)」と題された作品だ。
その扉の上に描いた碑文板に、マイケルは、女性大統領誕生を予言するかのように、ジョン・アダムズ大統領の名言にある言葉を書き加え、刻んでいる。
また、彼の代名詞ともいえる「ムーンウオーク」や「スリラー」をテーマに描かれた素描や自画像もある。
来日した時に、ホテル近くのギャラリーで見つけた浮世絵に触発され描いたという「Geisha(芸者)」の手にはマイクが握られている。また自身が着物を着て、刀を差した姿を描いた自画像「Kimono Michael(着物マイケル)」などもある。
ミュージシャンとして世界中を旅する中、静寂を見いだすために彼は絵を描いたという。その「描いている時間の平和と静けさが、最終的に彼の音楽に独創的なインスピレーションを与えていました」と母親のキャサリン・ジャクソンは振り返る。
リビングストン・ストロング氏が各作品の由来やマイケルの絵画への情熱を解説。偉大なるミュージシャンのもうひとつの才能が楽しめるファン必携本。
(宝島社 3800円+税)