文豪の意外な素顔に触れる本
「『文豪』がよくわかる本」福田和也監修
明治から昭和まで、日本の文壇史にその名を刻む文豪たちの足跡を紹介する文学ガイドブック。
トップバッターは安政6年生まれの坪内逍遥。その名は知れども、代表作「当世書生気質」を読んだことがある人は少ないのではなかろうか。坪内は、小説の他、文学論から劇作、そしてシェークスピアの翻訳家・研究者として、日本近代文学の誕生に多大な功績を残している。一方で、私生活では学生時代から通い続けた根津遊郭の娼妓を妻にしたという。
その他、姪を妊娠させてしまった島崎藤村や、町内会の副会長に選出され精力的に活躍したという江戸川乱歩など、50人の偉大な作家たちの業績から代表作のあらすじ、そして意外な素顔まで。一読すれば、近寄りがたかった文豪たちが身近に感じられるに違いない。(宝島社 1000円+税)