「作家の口福おかわり」朝井リョウほか著
少年時代、姉妹都市だったカナダのカルガリーにホームステイした際に、かつて絵本で読んで以来、憧れだったオートミールを初めて口にして、そのまずさに驚いた思い出をつづる朝井リョウ氏、家庭菜園で繰り広げられる20種類近くの野菜たちの生存競争を横目に、争いに加わらずに泰然と成長する大根の命の強さに感嘆する冲方丁氏、再現しようと試みるも、なかなか再現できなかった母親の「卵焼きおにぎり」の秘密が編集者の差し入れを食べて分かったという辻村深月氏、そして学生時代、工業化学科に在籍する友人が研究室でふるまってくれたビーカーコーヒーの味について記す中村航氏など。
人気作家20人20様が語る美味を味わう食をテーマにつづったエッセー。(朝日新聞出版 600円+税)