「心が折れる職場」見波利幸著
上司は従来のノウハウや慣例にとらわれず、部下個人を観察し、何か問題を把握し適切なサポートをする。それこそが上司の本業なのだ。
「最悪なのがプレーイングマネジャーです。例えば10人のチームがあって、9人はそれぞれ1000万円の利益を上げる。上司は経験も豊富なので利益は1500万円。『オレが一番働いている』となりがちなんです。しかし、それは大きな勘違い。上司の出す利益は500万円、いや、0円でもいいんです。部下のスキルや知識が不足していればそれを補い、常にサポートを欠かさないようにする。そうやって、一人一人が2割増しの1200万円の利益を出せるようになれば、全体としての成果も高くなる」
そのためにも、日頃から職場で仕事の話を気軽にできる、あるいは仕事以外の話ができる空気をつくらなければいけない。人間関係を構築しないことには人の顔というものは見えてこないからだ。
「メンタル不調と聞くと、すぐに『本人に原因がある』と画一的な見方をされることが多い。でも、それでは復職してもまた同じことの繰り返しです。そうした現状を何とかしたくて書いたのが、この本なんです。管理職や企業の経営層にこそ読んでほしいですね。そして、社員の家族にまで思いを馳せるようになってほしい。それを実践できれば、心が折れる職場はなくなると思います」(日本経済新聞出版社 850円+税)