「文明開化 灯台一直線!」土橋章宏著
明治2年、丈太郎は土木技師のブラントンの通訳として船で長崎に向かう。ブラントンは、欧米各国と8カ所の灯台の整備を約束した政府が、洋式灯台の技術を導入するために招聘したお雇い外国人第1号だった。長崎に着いたブラントンは、さっそく港の沖に浮かぶ伊王島に最新式の灯台を建設する準備に取り掛かる。ある日、友人のアーネスト・サトウが一人の老人を連れて仕事場を訪ねてくる。日本人を見下していたブラントンだが、その老人田中久重が作ったからくり人形の精巧さに舌を巻く。おまけに田中はブラントンの設計図を見ただけで、その仕組みや原理をひと目で理解していた。
3人が言葉や文化の壁を乗り越え灯台を造り上げていく姿を描く歴史エンターテインメント。(筑摩書房 680円+税)