「女系の教科書」藤田宜永著
私の名は森川崇徳。ムネノリだが、ソートクと呼ぶ者もいる。今は独身の次女、三女夫婦と2人の孫娘と同居中。近所には姉や妹も住んでいて、つまり私は女に囲まれて暮らしているのだ。
そんなある日、私は海坊主のような男が家をのぞいているのに気付き、あとを追いかけるが見失う。警察に届けようと娘たちが騒ぐ中、数日後、なんと海坊主が突然家にやって来て私に文庫本を投げつけると、「女房に近づくな!」。
出版社を定年後、私はカルチャーセンターで文学講座の講師をしており、海坊主は生徒青井照子の旦那だったのだ。この件で立腹した照子が家を出たと聞き、気になった私は海坊主を訪ねるが……。
「女系の総督」シリーズの第2弾。女系家族の黒一点である主人公ソートクが、娘や姉たちに翻弄される姿をコミカルに描いた家族小説。(講談社 1650円+税)