近ごろよく耳にする「ポスト・トゥルース」ってなんだ?
「〈ポスト・トゥルース〉アメリカの誕生」池田純一著
「ポスト真実」がキーワードになったのが昨年の米大統領選。伝統の共和党の予備選をひっかき回したトランプの存在こそ「真実なんてどうでもいい」時代の象徴だった。 本書は電通総研を経て米国の大学院に留学し、現在はメディア系コンサルタントの著者が見た大統領選の記録。
「ワイヤード・ジャパン」に連載された選挙ルポをまとめたものだけに、「ポスト真実」に時代がのめりこんでゆく過程のミクロな観察記になっている。いまから見れば「トランプ対ヒラリー」はマンハッタンのセレブ社会内部の痴話喧嘩のようなもの。しかしトランプには不動産屋の泥くささがあり、ヒラリーの政治活動にはお金持ちの奥さまのチャリティー活動のようなイメージがつきまとったとみている。(青土社 1800円+税)