「お化けの愛し方 なぜ人は怪談が好きなのか」荒俣宏著
怪談・伝奇文学のルーツを探りながら、お化けとの付き合い方、お化けに恋する方法を説いた荒俣お化け学の集大成。
江戸時代に始まる怪談文学流行のきっかけとなったといわれる中国の小説集「剪燈新話」、江戸川乱歩が愛読した全24巻に及ぶ中国の古書「情史類略」の中の恋愛怪談を取り上げ紹介。どの話も甘美なエロチシズムが漂い、性を生の基本要素として肯定しているところから「なまめかしさ」が放たれていると解説する。
その他、「牡丹灯籠」や「雨月物語」、タイの怪談「プラカノーンのメー・ナーク」や西洋恋愛怪談「レノーレ」などを読み解きながら、生と死を超えたお化けとの恋愛が人の暮らしのなかでも質の高い、自由なスタイルだと説く。(ポプラ社 900円+税)