「安楽病棟」帚木蓬生著
看護大学を卒業した女性看護師の城野は、総合病院の三枚川病院に就職。病院が新設した痴呆病棟で働き始める。病棟には、アルツハイマーが進行した81歳の元校長・下野さんや、ぼけてなぜかサーモンしか口にしない高倉さん、87歳の元近衛兵の相良さん、男好きで自分は23歳だと思い込んでいる84歳の長富さんなど40人を収容。城野は、毎日、患者の糞尿にまみれながらも、仕事にやりがいを感じていた。病棟の担当医・香月にそんな仕事ぶりが認められ、患者や看護内容についての報告役を任される。そんな中、痴呆病棟でそれまで元気だった患者が相次いで亡くなる。
終末期医療の現状をリアルに描きながら進む長編ミステリー。
(集英社 840円+税)