「秋霧」大倉崇裕著
元私立探偵で、今は東京の月島で便利屋をやっている倉持。その彼が財界の大物、上尾から奇妙な依頼を受けた。入院中の上尾に代わって八ケ岳にある天狗岳に登り、その行程をビデオに収めて欲しいというのだ。妙な頼みと思いつつも倉持は引き受けるが、登山中に不審な動きを感じていた。東京に戻ると、倉持の留守中に家が放火され、登山で知り合った若い男が焼死する。ひょっとすると上尾の依頼と関係しているのでは?
一方、元自衛隊特殊部隊員の深江は、警視庁の儀藤から過去のいくつかの殺人事件に関与している殺し屋「霧」の追跡を依頼される。すぐに動き出す深江だが、それを待ち受けていたかのように何者かの襲撃を受け、さらには奥多摩で「霧」によると思われる新たな犯行を目撃する……。
倉持と深江は独自に自分たちが巻き込まれている事件を調査していくが、あるときその2つが交差し、事件の全容が明らかになる。
山岳を舞台に、プロフェッショナル同士の激烈な死闘を描いたハードボイルドサスペンス。
(祥伝社 1600円+税)