「ワクチン 副作用の恐怖」近藤誠著
病気にならない、重症化させないために接種するワクチン。厚労省に承認されているのだから有効で安全であると、多くの日本人が信じている。しかし、効果に疑問があるばかりか、恐ろしい副作用の危険をはらむワクチンもあると、本書は警告している。
日本人の死亡原因は長い間、がん、心疾患、脳血管疾患の順だった。ところが2011年からは、肺炎が脳血管疾患を上回っている。そこで国は高齢者への肺炎球菌ワクチンの定期接種化をスタートしたのだが、決め手となった論文には副作用の記載がないという。ほかの論文には、呼吸困難や知覚異常などの重大な副作用が示されていたにもかかわらず、である。
さらに、ワクチンを接種した群としていない群を比較すると、前者の方が総死亡数が多いというデータもある。ちなみに、このワクチンの定期接種化により、毎年100億円以上が国庫から製薬会社に流れているそうだ。肺炎が日本人の死因第3位になったのは、肺炎球菌肺炎が増えたからではなく、要介護の高齢者が増加し、誤嚥による肺炎が増えたためと著者。だとすれば、肺炎球菌ワクチンでこれを予防するというアイデア自体に無理がある。
他にも、インフルエンザワクチンによる脳神経の破壊で起こるナルコレプシー(眠り病)や麻疹ワクチンによる脳症など、知らなかったでは済まされないワクチン別の副作用ガイドも掲載。子供でも大人でも、ワクチン接種には細心の注意を払わなければならない。(文藝春秋 1200円+税)