「影の子」デイヴィッド・ヤング著 北野寿美枝訳
1975年2月の東ベルリン、人民警察殺人捜査班のカーリンらは、他殺体が見つかった反ファシスト防護壁(=ベルリンの壁)近くの墓地に呼び出される。現場で待っていたのは国家保安省のイェーガーだった。壁付近で起きた事件は国境警備隊の管轄で、カーリンは自分たちが呼ばれた理由が分からない。イェーガーによると、被害者の少女は「西」から「東」へ逃げ込もうとして西側の警備兵に射殺されたようだ。カーリンは、少女の身元を突き止め、国家保安省が描いたこの事件の筋書きを裏付ける証拠を見つけるよう命じられる。しかし、人民警察の鑑識官が現場で見つけたタイヤ痕は党の公用車のものだった。
東西分裂時のドイツを舞台にした歴史ミステリー。
(早川書房 2100円+税)