「豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件」倉知淳著
飯塚勝男二等兵は陸軍特殊科学研究所で、空間をひっくり返す「空間転位式爆撃装置」の研究に従事している。当番交代の時間に景浦二等兵を呼びに行ったら、彼の死体を発見、周囲に豆腐のかけらが散らばっている。その前日、景浦は正木博士に「豆腐の角に頭をぶつけて死んでしまえっ」と罵倒され、夜食だと豆腐を渡されたのだった。
飯塚が豆腐で撲殺したと疑われたが、正木博士は、豆腐を凍らせて凶器にするには氷点下40度くらいにしないと無理だという。すると刀根少佐が、実験の第1段階が成功して、空間逆転現象が起こり、凸状になった部屋の隅にぶつかったのではないかと言いだした。(表題作)
奇妙奇天烈な事件やユーモラスなミステリーなど6編。
(実業之日本社 1600円+税)