「飲んではいけない認知症の薬」浜六郎著
日本ではアルツハイマー型認知症に対して4種の薬剤が承認・販売されており、安倍首相も認知症サミットで認知症施策の加速を指示。早期に発見して治療を行えば認知症はよくなると、医師も含めた多くの人が信じていることだろう。
しかし、長年にわたり医薬品の安全で適正な使用の研究に取り組んできた医師である著者は、認知症の薬は避けるに越したことはないとして、安易な服用に警鐘を鳴らしている。
例えば、アリセプトやメマリーなどの認知症治療薬を服用すると、しばしば吐き気の副作用が起こる。すると、吐き気止めの薬剤としてメトクロプラミドやドンペリドンなどが処方されることがある。しかし、これらの吐き気止めはしばしばパーキンソン症状を起こすことが分かっており、うつ状態や、興奮、せん妄を引き起こすことも少なくないという。
するとどうなるか。多くの場合で認知症治療の薬剤が増量されるとともに、抗精神病薬が処方されるが、抗精神病薬とは比較的若い人がなりやすい統合失調症用の治療薬だ。認知症の高齢者が服用を続けると、イライラや手足のふるえ、発熱や低体温などさまざまな副作用が表れやすく、最悪の場合は心停止も起こしかねないという。
他にも、認知症とその周辺症状に処方される治療薬の害について明らかにしながら、認知機能を支える神経を守るための食習慣についても解説する。知識を持たなければ家族と自分自身を守ることはできないと心得よう。
(SBクリエイティブ 800円+税)