「師匠、御乱心!」三遊亭円丈著
人気落語家が、昭和53年に起きた落語協会分裂騒動の内幕をつづった業界ドキュメンタリー。
その年、著者は真打ちに昇進。50日間に及んだ襲名披露が終わった2日後に、師匠の三遊亭円生が弟子全員を招集する。師匠は、一門の弟子を前に、協会の会長・柳家小さんの真打ち量産方針に異議を唱え、協会を脱退することに決めたと宣言。
さらに師匠はよりによって、弟子たちには一番弟子の円楽の弟子となり協会に残れという。一門の弟子たちの多くは円楽を毛嫌いしていたため、著者らは、仲間の中に円楽と通じている人物がいるとも知らずに、必死に思いとどまるよう説得するが、師匠の決意は固い。
見たまま感じたままを赤裸々に明かし、単行本発刊時には関係者を激怒させたという問題作。
(小学館 630円+税)