「命を縮める『睡眠負債』を解消する」白川修一郎著
2017年の新語・流行語大賞トップ10にも選ばれた「睡眠負債」。睡眠不足の累積=借金と考え、“返済”できなければ毎日積み重なっていき、命すら削る恐れもあるとされている。
自治医科大学が行った調査では、毎日の睡眠時間が6時間以下の人と7~8時間の人を比べると、前者の死亡率は2.4倍も高くなることが分かっている。また、アメリカでは交通事故と睡眠の関係について研究が進んでおり、平均睡眠時間が6時間未満の人は、7~9時間の人と比べて交通事故死が13%も多いことが明らかになっている。スリーマイル島原発事故やチャレンジャー号爆発事故など世界的に有名な大事故も、背景には睡眠負債による人為的ミスがあるといわれているのだ。
なぜ睡眠負債がさまざまな悪影響を及ぼすのか。慢性的な睡眠不足が続くと、免疫力が低下したり、食欲を抑制する血中ホルモンが減少する。結果、感染症にかかりやすくなったり、肥満から生活習慣病のリスクを高める。さらに、脳の前頭連合野という部位にダメージを受けることが、ハーバード大学の研究などから判明している。すると、意思決定や情緒安定、注意維持などの機能が著しく低下し、重大なヒューマンエラーにつながるのだという。
本書では、睡眠日誌をつけることで睡眠履歴を掴み負債を明らかにする方法や、睡眠負債を防ぐ食事法なども伝授。“借金”がないかどうか、自分の睡眠を見直してみては。
(祥伝社 1500円+税)