「告白」清原和博著
名門PL学園で高校1年から4番を務め、5季連続で甲子園に出場。優勝2回、準優勝2回。甲子園通算13本塁打は歴代最多。卒業後、西武ライオンズに入団、1年目で31本塁打の高卒新人記録を更新――。16歳からの4年間で人生の頂点を極めてしまった清原和博。その後のプロ野球人生も通算525本塁打を放つなど非凡だったが、スタートが桁外れに輝かしかったので、くすんで見えてしまう。
本書で語られるのは、あまりに早いピークで得た栄光と、その後の人生をどう折り合いを付けようとしたかの苦闘の道のりである。
転機はいくつかあった。ドラフトで希望の巨人入りを果たせなかったことが傷となり、FA宣言をして巨人に入ったこと。仰木元近鉄監督の誘いを蹴って巨人残留に固執したこと。いずれも悔いはないと本人は言う。しかし、結果的にはあの栄光にとらわれたとしか思えない選択に見える。そして覚醒剤。しかし、なぜ覚醒剤だったのか、明確には語られない。
最後に「今もまだ暗闇の中にいる」と語るが、極度に強い光を浴びた者こその闇なのかもしれない。
(文藝春秋 1600円+税)