「夜の側に立つ」小野寺史宜著
39歳の野本了治は、高校時代のバンド仲間4人と湖畔で飲んでいたが、壮介に誘われて夜の湖にボートをこぎ出した。ボートは転覆し、野本は助けられたが壮介は死んだ。壮介の妻、君香はそのとき妊娠していて、やがて男の子を産んだ。壮介と君香は学年一の美男美女のカップルだったが、君香のアメリカ留学で一時別れ、後に結婚した。
野本は21歳のとき、君香に愛を告白しようとしたが、できなかった。ボートに乗っていたあのとき、壮介は生まれてくる子供を「蓮人」と名付けると言った。そして、野本に「おまえの子じゃないよな?」と聞いたのだ。
過去と現在、4つの時間を行き来しながら描かれる切ない恋の物語。
(新潮社 1700円+税)