「図説 ホントにすごい!生き物の図鑑」千崎達也文・絵
微生物から、10階建てのビルよりも大きいシロナガスクジラまで、地球は隅々まで生き物であふれかえっている。
もとはといえば太古の地球で、単純な化学物質からたった1個の細胞として生まれた生命が、多様化と進化を続け、地球を埋め尽くしたのだ。
本書は、太古の時代から現在まで、進化の末にさまざまな「すごい」能力や体を得た生き物たちを紹介する面白図鑑。
先述のシロナガスクジラは、現在生きている動物の中では最大だが、動物史上最大の巨体を得たのは、お察しの通り、竜脚類と呼ばれる草食性の恐竜たちだ。
中でも、南米で発見された「アルゼンチノサウルス」は、全長45メートル、体高10メートル、重さ110トンともいわれ、陸上生物のサイズの限界に達していた。
巨大化を可能にした要因のひとつである「気嚢」と呼ばれる器官の仕組みや、巨体を支える構造の秘密といった、解説も充実している。
他にも、アフリカの砂漠に分布し、たった2枚の葉を生涯伸ばし続ける「キソウテンガイ」(和名)など、「巨大になる」ことで特権的な地位を得た生き物から、藻類など他の生物の葉緑体を取り込み、動物なのに光合成して生きる「エリシア・クロロティカ」など「超絶的な戦略」を持つ生き物、宿主の脳や神経に介入して、行動まで操る寄生虫の「ハリガネムシ」などの「目を見張る特殊能力」を持つ生き物等々、テーマ別に紹介。
中には27億年前に誕生し、太古の地球に酸素をもたらした動物たちの大恩人である「シアノバクテリア」(今も湖や熱帯魚の水槽の中にいる身近な生き物)など「見えない世界の住人たち」もいる。
不思議ですごい生き物たちに、読めば読むほどわくわくが止まらない。ぜひ子供と一緒に。
(秀和システム 1300円+税)